”幸せなひととき”を提供したい ー おいもの味がぎゅっと詰まったさつまいもを育てるヤマブキファーム {生産者インタビュー}
投稿日: 投稿者:OTEMOTOSTAFF
ロシアン佐藤の推しさつまいも農家『ヤマブキファーム』。さつまいもの生産から干し芋の加工、商品の販売までを手掛ける、女性2人組の農家さんです。
2024年10月1日、OTEMOTOは茨城県ひたちなか市にあるヤマブキファームさんの農場を訪ねました。ヤマブキファームさんから「ロシアン佐藤さんと一緒に取り組みをしたいです」とご連絡いただいてから足かけ2年。やっとお会いすることができました。
さつまいもづくりに一途で、おいもの味がぎゅっと詰まったようなさつまいもを育て上げるヤマブキファームさん。大人気商品の干し芋は発売と同時に完売してしまいます。
そんなお二人に、ヤマブキファームのこれまでのストーリーをお聞きしました。
ヤマブキファーム
メンバー:リサ(代表)、チハル(バディ)
所在地:茨城県ひたちなか市
事業内容:さつまいもの生産、干し芋の加工
設立:2021年5月4日
ヤマブキファームのこと。リサのこと、チハルのこと。
ヤマブキファームさんは設立何年になりますか?
今年の5月で設立3年になりました。ヤマブキファームとして4年目、4回目のおいもの収穫期を迎えています。
どういったきっかけで設立されたんですか?
代表のリサが農業で独立することを決めていて。地元の茨城県で、すごく好きな食べ物でもある干し芋農家になろうと準備を進めていました。そんな時に、バディのチハルが偶然茨城県に引っ越すことになって。そんなこんなで、リサとチハルの2人でヤマブキファームを設立することにしました。
リサさんとチハルさんはどこで知り合ったのですか?
チハル:2017年にソフトボールチームで出会いました。出会った時にリサが「農業で独立するんだ」と夢を聞かせてくれて、「夢をもってる子ってすごいな」「夢があるっていいな」と思いました。そこから1年たたないくらいで急激に仲良くなりました。気が合ったみたいです。
ヤマブキファーム設立前はどんなお仕事をしていたんですか?
リサ:自衛官でした。もともと”自然の中で働きたい”という想いをもっていたのもあって。自衛隊で約6年半すごし、そのあと農業の世界に入りました。干し芋の問屋さんや農家さんで約5年間経験を積んで、さつまいもや干し芋づくりについて学びました。
祖父母が米農家をやっていたこともあり、小さい頃から農業が好きで、いつか農業をやりたいと思っていました。
チハル:動物の専門学校を出たあと、長野県の牧場に就職しました。約1年働いたところで体を壊してしまって地元の埼玉県に戻りました。体をしっかり治した後、海や魚が好きなのでダイビングショップに入社しました。1年かけてプロ資格をとり、ダイビングのインストラクターになりました。
家庭の事情で神奈川に引っ越すことになり、この時リサと出会いました。その後、今度は茨城県に引っ越すことになって、リサと一緒に独立するために農業法人で約3年間働きました。前々から農業をやってみたいと思っていたのもありますね。
こちらは作業場兼ご自宅とのことですが、一緒に住まれているんですか?
そうです。独立当初からルームシェアしています。お金もないので🥺
…喧嘩になりませんか?
なりますなります、めちゃくちゃ喧嘩します(笑)。きょうだい喧嘩が一番近いかな。「なに、今の言い方」とか「え、なんでそんな怒ってんの?」とか、そんな感じです(笑)。
チハル:私は何度も家を飛び出していて(笑)。最初はリサも追いかけて来てくれたし鬼電してくれたんですけど、最近はもう追いかけて来てくれないし、電話もくれなくなりました(笑)。
そんな感じで喧嘩はするんですけど、喧嘩したからといって、「はい!じゃあ全部もうおしまい!」ということはなくて。
「事業を一緒にやる」「ヤマブキファームとして続けていく」って覚悟しているし、やっぱりリサのことが心配なので、結局家に戻ります(笑)。
リサ:これまでお世話になった人たちの顔が浮かんで、投げ出すようなことは絶対にできないよね。
チハル:そうだね。
『ヤマブキファーム』の名前の由来は?
5月4日創業なので、誕生花の「ヤマブキ」から名付けました。字画も良くて、おいもと同じ黄色いお花でもあるので!
ヤマブキファームの5つのこだわり
ヤマブキファームさんがこだわっていることを5つ教えてください。
ヤマブキファームでは、「丁寧さ」「美味しさ」「見た目」「食べやすさ」を大切にしています。
一つひとつの作業をどこよりも丁寧にやっている自信があります。
さつまいも1本1本、干し芋1枚1枚、とにかく丁寧に扱っています。すべての商品の全工程をリサとチハルがきちんと見ていて、どのお客様にどの商品を送ったか、だいたい覚えているくらいです。大きい農家さんだとなかなかそうはいかないと思います。
美味しくて、見た目がよくて、食べやすいさつまいもを作るために、使用する農薬の種類やタイミングなど、すべてにこだわり抜いて「畑づくり」をしています。
畑の持っているポテンシャルの高さを見抜いて、さつまいもに最適な畑で作付する。有機物をたくさん入れてふかふかの土づくりをする。植え付けから収穫まで、すべての作業を最適なタイミングで行う。収穫後は緑肥をすき込んで畑に元気になってもらう。それから、数年に一度しっかり休耕させる。
こうして、さつまいもの良さを最大限に引き出すようにしています。
減農薬にもこだわりをもっています。
農薬には「毒物」「劇物」「普通物」とがあるんですが、できるだけ「普通物」を使うようにしています。
農家では「ドロクロ」と呼ばれる劇物の土壌消毒剤を使うことが一般的なのですが、ヤマブキファームでは使いません。
畑にトラブルが起きて周囲に相談すると、すぐ「ドロクロを使え」と言われてしまうのですが、絶対に使いたくなくって。いつも「他の方法が必ず何かあるはず」と考えています。
ドロクロは良い菌まで全部殺してしまうし、一度使うとずっと使い続けなくてはいけなくなります。ドロクロを使ったおいもを食べると体に悪いとかそういうことではないのですが、周囲の方々や自分たちのことを大切にしたいので、使わないと決めています。
ただ、ご近所さんに迷惑がかからないように除草剤やイモムシ消毒など最低限の農薬は使用していて、畑を綺麗に保つようにしています。
何をするにもとにかく大変。でも、「ひと」に助けられてきた
今まで苦労したことはどんなことですか?
何をするにも、とにかく全部苦労しています。考えることがたくさんあって大変!
農家って同じことをひたすら繰り返すイメージだったんですが、実際には全然違いました。むしろ挑戦の繰り返しです。うまくいったこともいかなかったことも、考えられる要因がいっぱいあってわからない!
おいもの保管には特に苦戦しています。
さつまいもは保管が難しくて、寒すぎると腐ってしまうんです。ヤマブキファーム設立から3年間、保管の問題にずっと向き合ってきましたが、乗り越えることができていません。保管に自信がないから生産量も読めなくて。
去年は60トン収穫して2トン近くを腐らせてしまいました。おいもを腐らせてしまったので、干し芋の予約注文分を送り切ることができなくて…。腐ってしまったおいもを捨てるのがすごく悲しかったです…。
そこで今年は意を決して保管庫を作ることにしました。保管庫を専門の業者さんに発注すると何千万円もかかるんです。これは今の私たちには見合わない額なので、知り合いの大工さんに相談して、なんとか費用を抑えて保管庫を作ってもらいました。実家が干し芋農家さんをやっている大工さんにお願いしたので、すごく考えて工夫して作ってくれて。
今年この保管庫でおいもの保管がうまくいけば、来年は拡張したいと思っています。
保管以外にもたくさん苦労があったと思うのですが、どうやって乗り越えてきましたか?
お金のこと、機械のこと、機械置場のこと、苗床のこと、病害虫のこと、保管のこと、注文システムのこと…いろいろな壁に直面してきたのですが、とにかく「ひと」に助けられて続けて来ることができました。
先輩農家さん、農家仲間、お客さん、友達、家族。こういった方々の支えがあったからこそこれまでやってこれたし、今も「保管の壁をなんとか乗り越えよう」と頑張ることができます。
ヤマブキファームの一番の強みは人に恵まれているところなんだなって。話していてあらためて思いました。
”幸せなひととき”を提供したい。誰かの“推し”になれたら。
今後の展望や目標を教えてください。
とにかくまずは安定させたいです。年をとっても2人が健康で続けていけるように、もうちょっと余裕をもって仕事をしたい。
生産量を増やして売上目標を達成することができたら、おいもを育てることに注力したいです。もっとおいもの美味しさを引き出してあげたい。
そして、最終的には何かしらの形で人の役に立ちたいです。
自分たちがしてもらったように、若い子たちを支えて応援してあげられるようになりたい。
ヤマブキファームを、友達や家族・親戚の心の拠り所のようなところにしていきたい。
なんとなく疲れたら遊びに来て、農作業で汗を流して、リフレッシュしてもらえる場所にしていきたい。
動物の保護などに売上の一部を寄付したい。
・・・・やりたいことがいっぱいです(笑)。
最後の質問です。さつまいもや干し芋を通して、お客様に何を提供したいですか?
”幸せなひととき”を提供したいと思っています。
リサもチハルも農業法人の従業員として働いた経験がありますが、その時は自分たちが作った野菜がどこに届けられているのか分からなかったんです。今はおいもを作って加工して、お客様にお届けするところまで自分たちでやっているので、ダイレクトに「美味しかった」とメールをもらうこともあって、それはすごく幸せなことです。
誰かの生活を少しでも豊かにできたら。誰かの“推し”になれたら。そういう想いで、おいもを作って、お届けしています。
ご購入はこちらから
関連動画
関連記事
OTEMOTOプロジェクトは、作る人と食べる人を繋ぐ橋渡し役として、生産者さんのストーリー、生産者さんが愛情を込めて作った食べ物のストーリーを割愛せず丁寧に伝えていきます。
今回の生産者インタビューは、ロシアン佐藤の推しさつまいも農家『ヤマブキファーム』さんにご登場いただきました。今後のインタビューもお楽しみに。
写真撮影:Tsukada Kenichiro @ktsukada0613.photo
シェア: